第3部 『鼠講谷』


ダム。真ん中には目から涙が流れている壁画。それを描いている人がいる。白・赤・青のペンキ。

『20世紀に大きな戦争がありました。それは、人間とモンスターとの全面戦争でした。言葉では到底語りきれない激しい戦いの末、勝ったのは、モンスター達の方でした。月日は流れ新世紀になりました。そして、人々はあのメロディーを忘れていったのです…。』

アイバーマシンが到着する。「行き止まりに見えるけど。」と小夜子、「ああ、すごい壁画だな。」とボッカ。「地図と違うじゃない。」と小夜子、だがその地図の道だときめたのはボッカではなく小夜子だった。アイバーマシンをとめ、ダムを上ってみる2人。と、その先にいたのは、手首をダムの壁に入れている少年であった。


『鼠講谷』   ・   『鳴弦』   ・   『すでに択ばれた遠い道』


●旅を続けるボッカと小夜子はダムに手を入れている少年と遠音に出会う。遠音はメロスの戦士としての実力はあるが、スカイブルーを好きなことを認められずにいた。だが絵市によって自分の気持ちに気付いた遠音は、アイバーマシンでもあるスカイブルーと共に行くことを決意するのであった。

●どうでもいいことだが鼠講谷編の人々はスルーが多いのが笑える。今回の鼠講谷編で起きたことは、遠音が一度は拒んだスカイブルーを認めるまでの話である。遠音、彼女はスカイブルーととも行くことを今回決断したが、すでに彼女はスカイブルーにあっていたときに択ばれていたのだ。また本筋ではないが、絵市の言うアートについての発言も感慨深いものがあった。





   第3部 鼠講谷(水・黒) 第6話 『鼠講谷』(黒・白)


       


「かわいい…お人形みたい。」と小夜子。「今は道はありませんよ。」とその少年は言う。何しているのとボッカが聞くと、ダムの谷に穴が開いているのでふさいでいるのだという。じゃあ抜けなくなっちゃったのと聞くが、彼自らやっていることらしい。と、別の若い男性が現れた。ダムの向こうに行きたいというが彼も同じことを言う。彼は壁画を書いている人だそうだ。彼に少年のことを尋ねると、美しいでしょう、とか完成された美術品だとか言い、手でカメラのレンズを作りどんどん少年にズームされる演出。なんでこんなことをしているのかと尋ねると、穴をふさがないと穴から水が溢れ出し、どんどん穴を大きくし、このダムは決壊してしまい、谷の人は流されてしまうからだと聞かされる。じゃあだれか呼んでこなきゃというが、谷の人はみな知っているが、嫌われているからというが、嫌われてるからとかそういう話じゃと小夜子がいったとき、小夜子の前に何かが現れる。ボッカが弓で射抜くと、それは機械の鼠であった。若者の男はボッカにメロスの戦士ですかという。そして、うちで泊まりませんかと聞く。小夜子の「らっきっきー。」再び。でもどうして涙の目の絵なんて書いてるの?と聞くと、彼はオレンジジュースの缶にはオレンジの絵を描くでしょという。
彼の名前は絵市。絵市の家に行く前によるところがあるという。みりさんに紹介したいらしい。その人とはこの谷の有力者で、自分の絵を描かせてもらっている雇い主だそうだ。
屋敷の中に入った面々。と、ある一室では多くの人がそろばんを打っていた。何しているのと聞くと、朝から晩まで計算しているんだそうだ、何を計算しているのと聞くと、あれですよと指を差した先にあったのは、大量の鼠の機械。それらが大量に動き回っている。正確に言うと、彼らの運んでくる悲しみを数えているそうだ。働きマウスが世界中から運んできた悲しみをここのダムに運んでいるらしい。なんかみんな機械みたいと小夜子が言うと、彼は言った「ダムにいた少年の方が、よっぽど人間ぽいでしょ。」と。
みりさんの部屋に入るとそこには本人と執事。は、やっぱりあなたは天才ねとで迎えられる。二人を道に迷った画学生と紹介し、泊めて手伝ってもらうという。「ボッカです。」いうと彼女は言う。「いい声ね〜、百万ドルの価値があるわ。」と。「あたしは小夜子、って聞いてないか。」と小夜子。彼女は自分のダムに絵市の絵を描く価値があるという。彼女のダムらしいのでボッカが少年のことを話すと、「ああ、あの鬼のこと。」という。さらにつづけてだって「人間じゃないもの、昔頭に角があったんだから。」という。
ボッカたちが去った部屋。「あの少年、税にちょうどいいのでは。」と執事。「あの子は税にしない、だってこの谷に住むのですから。」とみりさん。


・ダムの穴〜最初は穴が7つあったのに、次のカットでは5つに減っている。
・背景〜最初のボッカと小夜子のシーンで、車道のフェンスに赤が使われているなど、ところどころにわずかに赤が見受けられる。コメンタリーによると、怪しい雰囲気をかもし出している演出だとか。
・「あたしが寝ている間に絶対してる。」「してない、。」「何をしてないの。」〜前の「あっ、。」「『あ』って、。」「『あ』だって、。」の掛け合い再び。
・少年〜みなが知っているのに一人でダムを止めている少年。モンスターの生贄を思わせるが今回は少し事情が違うよう。
・悲しみを計算する人〜いったい何をやってるのか。モンスターの最上の喜びは人間の悲しみということか。
・みりさんの「いい声ね〜、百万ドルの価値があるわ。」〜「百万ドルの笑顔。」とか言う言葉があるが、これはみりさんが価値をお金でしか判断できないということらしい。家にも魚の彫刻やらがありシャチホコのように、成金ということの象徴か。また彼女の一面として、お金はいかに使うかであり、お金という手段自体を目的としてしまっている、らしい。


(白・赤)忘却の旋律(赤・白)


彼の家に来たボッカと小夜子。また「してる、。」「してない、。」の掛け合いをしていると、僕も彼女とけんかできるほど仲良ければなという。それってみりさん?と尋ねるが、彼は答えない。隣の家に住んでいたらしく、昔に許婚と決まっていたらしい。自分は彼女が好きだったが、彼女は別の者が好きで、出て行ってしまったそうだ。次のカットにダムの少年が相変わらずダムに手を入れているのと、その周りに大量の鼠がうごめいている。
朝。「おまたせ。」と絵市に言うボッカ。小夜子さんは聞くと、一人どこかへ歩き出す光景が見える。あなただけでも来てください、人目が多い谷ですからといった先には、物陰からこちらを見る人陰。
「いずれ税を納めなければなりません。」と執事。「もう壁画は完成している。」とみりさん。「あの旅の少年に乗り換えるのですか。」というと、「ボッカとか言う少年、私にゾッコンだったわよね。」という。
再び少年の元に来た2人。「昔角があったというが、モンスターではない。」とボッカ。「モンスターでなければ人間でもない。ではなんなのでしょう。」と絵市。「あなたはその答えを知ってそうだ。」というが、彼は言わない。
ダムを上から臨む小夜子。腕輪の鎖がダムの向こうを指している。「やっぱり行こう、あいつの戦いに付き合ってどうする、こんなしけた谷。」谷を下っていく小夜子。バス停に着いた小夜子。ちょうどバスが来る。と、そのバスから降りてきたのは、長い何かを持ち、セーラー服を着た長髪の少女であった。目が合う二人。「なんにしても旅費は必要よね。」と小夜子。小夜子の目に留まる、少女の首に下げている輝く何か。「でっかい、あれサファイヤかな。」とウキウキの小夜子。
へんな泣き声がする。それに気づいたボッカと絵市。「やっぱりきたかと。」絵市。すると、森から大きなネズミのようなロボット怪獣が現れる。あれは僕を捕まえにきたと絵市。「鳴り響け、僕のメロス。」と攻撃の用意をするボッカ。その光景を見て「忘却の旋律ってどんな顔をしているのかな。」と絵市。鼠の腕を打ち抜く。腕が取れ地面に落下すると、壊れるのでなく大量の鼠に分散する。すると森に逃げ始めるロボット怪獣。追いかけ森に入るボッカ。すると、大量の機械の鼠に囲まれてしまう。一匹がボッカにめがけ飛んでくる。切り傷を負う手首。また飛んでくる鼠。それを空中で射抜くボッカ。まわりにも攻撃するが、飛んできた鼠に弓を弾かれてしまう。と、どこからか音色が聞こえてくる。すると鼠たちはどこかへ行ってしまう。そこに現れたのは長髪の少女。「君が追い払ってくれたの。でもどうやって。」弓の糸を鳴らし「『鳴弦』この音をモンスターたちは嫌う。」と言う。と、草陰に物音。2人の前に現れたのは小夜子。気付かれたと分かった小夜子は素晴らしいと拍手。おまえ何しているの、この人はと聞くと、知らない、「この宝石の人はたまたま見かけて…、。」「宝石の人?」「あ…。」口に手をやる小夜子。「さてはお前また、もうやめろっていってるだろ。」「あら、なんのことかしら。」と小夜子。とりあえず少女に感謝するボッカ。この谷を我が物顔で動き回っているあいつらが嫌いなだけと少女。「この谷の人?」聖刻はないのかと少女を見て思うボッカ。「あのひとメロスの戦士じゃないよね、アイバーマシンにも乗ってなかったし。」と小夜子。と、少女がボッカの聖痕を見て弓を引く。「おまえ、メロスの戦士だったか。」と少女。「敵なの!?」と小夜子。


・「子供が居ないね。」〜その言葉通り、子供はまったく出てこない。というか忘却の旋律のアニメでは普通の子供が出てきた印象がほとんどない。
・絵市〜いろいろ知っているがまだ教えてくれない人。
・少女の首にかけているもの〜SF的に阿部定を表現したらしい。もう言及したくない。



●行き止まりに出会ったダムと小さな町。そのダムに大量の機械の鼠が世界中の悲しみを運んでくる。そして、そのダムをずっと守っている、昔角があったという少年。現れるモンスター怪獣、それを撃退した少女はボッカに弓を向ける。

●さて第3部に突入。今後仲間になる遠音とスカイブルーの登場です。二人は過去にこの地で何があったんでしょうか。また、後から絵市を思い起こすと、絵市って立ち回りがうますぎ。



『大人たちは、子供たちを悲しませる仕事を、一生懸命やっている。そして、モンスターに支配されたやつらは、このことを嫌うんだ。』『次回、「鼠溝谷」。鳴り響け、僕のメロス!』






ダム。弓だけを引くボッカ。「この谷のモンスターユニオンは、僕がやっつける。それが、君の目的でもあるんだろ。」傍らで作業をしている絵市は何も言わない。「鳴弦か…。」とボッカ。 「おまえ、メロスの戦士だったか。」弓矢をボッカに定める少女。しかし「お前なんて殺しても何にもならない。」と弓をしまう。
その話を聞いて「遠音帰ってきたんだ。」と絵市。その遠音が許婚だったひとらしい。そして、「この絵を完成させるのはあなたかと思っていたけど、彼女だったらいいな。」と言う。

   第3部 鼠講谷編(水・黒) 第7話 『鳴弦』(黒・白)


       


〜機械の鼠を撃退した少女。その少女はボッカのメロスの聖痕を見て弓を引く。


みりさんが絵市の家に来る。出迎えるが僕しか居ないとボッカ。だから来たのとみりさん。あたしもいるっつうのと小夜子。ボッカたちが止めてもらっている部屋に入ってくるみりさん。彼女はボッカが画学生ではなく別の目的だ旅していると見破る。そして500万ドル欲しくないと聞いてくる。そのときボッカはみりさんの背中にモンスターの刻印を見る。そして彼女は、あなたを満足させられるものがすべてそろっているという。と、どこからか音楽が流れてくる。驚き、逃げ出すみりさん。鳴弦を思い出す小夜子。
遠音が戻ってきた事に驚くみりさん、なにをしに、絵市を取り戻しに来たのかしらと心配する。もう絵市は捨てられたのではと執事、遠音にだけは渡しはしないとみりさん。と、急に話を変え、執事に子供のころ家に庭があったかを聞く。あったと答える執事に、私の家にはなかった、でもあいつらのうちには庭があったんだとひがむ。
子供のときの回想。庭に絵市と遠音が居るのを庭の外から覗くみりさん。と、銃声がする。またあの角を持った小僧が現れたんだと銃を持った彼らは言う。庭を飛び出しみりさんの元に行き、2人で森に探しに行くことを決心する。森に入ってあの少年を探す2人。みつければすごい賞金がでるから急がなきゃとみりさん。食べ物と水を渡したい遠音。でもよくっでてこられたわねとみりさんに言うと、お母さんが病気で寝ており、家族はそれだけだという。 ★と、船が現れる。山の中なのに。そして前回の話で現れたモンスターの少女が現れる。「おや、じゃりが2匹か。」と老婆の声「いらっしゃい、仲良くしましょ。」と少女。そして「くれば何でも欲しいものをあげるわ。」と言う。何でもとみりさん。遠音は静止するが、みりさんは遠音を押して、少女についていってしまう。
それがモンスター様だったと振り返るみりさん。モンスターを見たものは石になるか、その仲間になるかのどちらかに決まっているという。そして、幸運にも私だけがモンスターユニオンとなり、この谷を支配していると言う。そして、選ばれなかったおちこぼれが、いまさら何をしに戻ってきたのだと言う。
「あること、ないこと。」インコ登場。


・遠音とみりさん〜コメンタリーによると、この二人は境遇はほとんど同じなのだが、みりさんは家に庭がないという、大人になったら笑い話になってしまうような小さなことを、子供時代の特有の考え方によって嫉妬してしまい、それをモンスターに漬け込まれてしまうということらしい。


(水・白)忘却の旋律(白・水)


今の金持ちの生活はどうだとインコ。昔では考えられなかっただろう、昔のお前の庭のない家はダムの底。と言うと、彼女は悲鳴をあげる。驚くインコ。外の執事は聞こえているだろうに微動だにしない。
回想、モンスターと二人で居る。一本の矢は簡単に折れてしまうが、強い鋼の矢といっしょなら折れなくなる。世の中もおんなじさ。強いものに従えば安全だという。そして、モンスターユニオンの刻印を入れられる。
鎧に着替えたみりさん、今日の私はどうだというと、「イケイケでございます。」という。そして、おおくの機械の鼠=働きマウスが集まってロボット怪獣になる。
少年に自分ができる絵は終わったという絵市。と、そこに小夜子が来て、みりさんはモンスターユニオンのエージェントだといい、また遠音は何者かと聞く。と、また働きマウスが現れる。また襲われるみたいだと絵市。
ダムの上。遠音の元にボッカが来る。なぜメロスの戦士を憎んでるのと聞くと、ボッカの後ろにいた働きマウスを射抜く。勝負してみるか、働きマウスをはずした方が負けだと遠音は言う。
働きマウスって何、鼠講システムを支えているものだとか。そして、モンスターユニオンに入りたいがために、大人は子供を泣かせるために一生懸命働き、子供たちの涙を集める。それをこのダムに運んでくるのが働きマウスだそうだ。そして、自分が悲しませた量によってエージェントにしてくれるらしい。悲劇の子供はさらに大人になって悲劇をうむ、涙の無限連鎖システムだと言う。それを数えているのが彼らなのだとか。
じゃあその少年は何? と小夜子が聞くと、彼は遠音の心を奪われた恋敵だという。
決着つかないねとボッカ。じゃあ直接勝負するかとボッカに弓矢を向ける。無表情で遠音をみるボッカ。と、雄たけびが聞こえる。ロボット怪獣がまた現れる。「エランヴィタール。」と呼び、ダムの壁を走るアイバーマシンをそのまま乗り込み、絵市さんとロボット怪獣の間に入るボッカ。お前には関係ないという声に、声がみりさんだと気付く。「私は、モンスターユニオンのエージェント、ミリオネアびーばーだ。」弓矢の狙いを定めるボッカ。
ひとりで鳴弦を鳴らす遠音の後ろには忘却の旋律がいた。


・みりさんとインコが話している最中〜キャラクターのカメラ的な前後関係が逆転している。アニメとして面白い演出だと思う。また、周りの人形やらが動いたりするなど、モンスターの怖い雰囲気をかもしだしている。
・絵市と遠音〜遠音の印象を表すものとして絵市はいい男を作中で見られるが、そのいい男である絵市が好きになった遠音はいい女だ、と言うことをあらわせたらいいなということらしい。



●殺す価値なんてないと少女に言われたボッカ。そのことを話した絵市は遠音が帰ってきたことを驚く。またみりさんもそのことを知り、昔自分が遠音とともにモンスターに出くわしたことを思い出す。自分が壁画で出来ることは終わったと絵市。そして小夜子は絵市から、ボッカは遠音からこの谷はどんな役割を担っているかを知る。そこに再び現れるロボット怪獣。

●涙の無限連鎖システム、いかに子供を不幸にしたものがエージェントに選ばれるのか。いままででたモンスターユニオンのエージェントは心の隙を突かれすぐにモンスターユニオンになったが、今後のエージェントはあまり過去を描写しないのでそれから選ばれた、それほど非道なのかもしれない。でもエージェントになりたいのは担任もそうだったし、単にモンスターにいよる支配を維持するためのただの出任せの意味が大きいかもしれない。



『描かれた絵に愛する価値はあるかどうか。それは、描く者が決める事じゃないし、描かれた絵が決めることでもない。』『次回、「すでに択ばれた遠い道」。鳴り響け、僕のメロス!』






「キーーーーー…。」対峙する絵市、ボッカ、ロボット怪獣。「フラーッシュ。」ボッカが弓を放つ。すると耳元が打ち抜かれ、耳が落ちる。すると中のみりさんの姿が見え、悲鳴をあげ、逃げてしまう。
少年を上から覗く遠音。「スカイブルースカイ、ブルースカイブルー。空のような青な空。青い宝石の木々。まっすぐな瞳の前で、言葉は、あまりにも拙い。永遠しかない。本当に…世界はすべて、永遠のもので満たされている。」少年が遠音に気付く。遠音は少年の視界から逃げてしまう。

   第3部 鼠講谷編(水・黒) 第8話 『すでに択ばれた遠い道』(白・黒)


       


〜この谷の真実を知ったボッカと小夜子。そして絵市に再びロボット怪獣が迫る。


絵市がバスに乗り込もうとする。見送るボッカと小夜子。そこに遠音も来る。これからどうするの聞く遠音に、自分は売れっ子アーティストだ、自分は書きたい絵や作りたい形がある。だから、どこに言っても大丈夫さと言う。遠音は言う。

「私は分からない、人が作った物や形に、本当に価値なんてあるの。」
「みんな趣味で飾っておくだけでしょ。」
「本気で、描かれた絵や作られた形を愛する人っていると思う?」
向かい合う絵市と遠音。なにいってるのと小夜子。さあとボッカ。
「いるさ、だって君はこの谷に戻ってきた。」

「描かれた絵に、愛する価値があるかどうか。それは、描く者が決めることじゃないし、描かれた絵が決めることでもない。」

はっとする遠音。「僕の絵を完成させるのは、君たちだから。」と言い残し、絵市はバスで行ってしまう。バスが言った後に働きマウスがいる。

「鳴弦、レクリエムの心。」

と遠音が言うと、働きマウスは道から落ちる。「それが鳴弦って技か、超音波の一種とか?」とボッカ。「もっと簡単だ。」

「心を形にする。」
「おまえの心がメロスなら、その形がモンスターを苦しめる。それだけさ。」

「レクリエムってあなたのメロスネーム?」と小夜子。「メロスネーム?」とボッカ。「メロスの戦士は嫌いだ、アイバーマシンに乗っていい気になっている奴は許せない。」と遠音は言う。「そういえばまだ決着がついてなかったな。」と遠音「僕の弓はモンスターを倒すためだけにあるんだ。」とボッカ。「戦士が嫌いなら、それだけの技をどうして身に付けたの?」とボッカは聞くが、遠音は答えない。
みりさんの屋敷。またインコが来る。またうるさいことを言う。すると、執事が現れ、上から箱で閉じ込める。が、別のところから声がする。箱の中には何も居ない。別のところに移動していた。メロスの戦士を殺せと支持し、インコは去る。
回想。モンスターと出会った2人。みりさんはモンスターについていき、遠音は取り残される。少年を見つける遠音。やっぱりここにいた、わたし前にも見て、日が暮れるまでずっと見ていたのと言う。
それからしばらくして、家で隠しワインセラーに入る遠音。それに気付き、中に入る絵市。いいよ見せてあげると遠音。すると、その先には少年が居た。
かくまい始めてから谷ではモンスターユニオンの支配が始まり、あのダムができた。ダムに矢を撃ち込み、穴を開ける遠音。そこからは水が流れ出ている。そこの少年が駆け寄ってきて、「いけません。」「谷のみんなが流されてしまう。」と言う。「お母さんが居なくなった。こんな谷、みんな流されちゃえばいいんだ。」と遠音。すると、少年は穴を手で塞いだ。「あなたをいじめた人たちを守るの、やめなさい。」と遠音。すると少年は「あなたは、僕に命令できるのですか。」と言う。はっとした遠音は行ってしまう。そしては私はそのまま谷を出て行った、いや逃げ出したんだと遠音は振り返る。グラスからこぼれ、机からもこぼれるワイン。
再びロボット怪獣になるみりさん。


・ボッカの弓〜最初の弓矢を放つとき、聖痕にかざさなくても光る弓を放っていた。いつでも強化矢を放てる?
・鳴弦の技〜魔除けとして日本古来の儀式をオマージュしたらしい。
・瞬間移動したインコ〜どうやっているかわからない。
・「ブルースカイブルー…。」〜これらの意味は、遠音の乙女チックな趣味を表しているのと、遠音は永遠の意味を知っている、この世には永遠のものしかない、永遠をどうとらえるか、つまり、好きだ、と思ったあのときの気持ちは永遠だ、ということらしい。
・絵市と遠音の会話〜アートについて話す二人。最初に自分は、遠音は人間に作られたものでない(機械が人間になるのは人間が作れるわけないと思い)スカイブルーが好きで人間の作ったものが意味はないといっているの方思ったが、これを話の本当の意味とは、作り物であってもスカイブルーに会いたくて君は戻ってきた、物の価値を決めるのはそれを見た個人それぞれだということだ。
・みりさん〜彼女がモンスターユニオンになったのは、親が病気でお金がないといったことから、状況的にモンスターに加担してしまう。つまり状況から悪に走ってしまうという人を表しているらしい。
・執事〜いい人が悪い人についているという人を表しているらしい。
・スカイブルー〜彼の設定はアイバーマシンで人間になれる。そして彼には感情や自我があることになっているらしい。機械で人間らしい感情があるものとは何を象徴しているのか。なんとなく「夫」と言う言葉を思いついた。社会では機械のように働き、妻を経済的に支え、妻の前では人間になれる。どうだろうか。


(緑・黒)忘却の旋律(白・緑)


地響きを起こすロボット怪獣。「出て来いメロスの戦士。」とみりさん、するとボッカが現れる。バカめ従えばいい思いが出来たのにとみりさん。「相手がモンスターユニオンだから、容赦はしない。」とボッカ。すると、ロボット怪獣はまわりじゅうから働きマウスをあつめ、どんどん巨大化していく。ボッカは顔に弓を撃ち込むが、すぐに元に戻ってしまう。「私の溜め込んだものの価値が分からない馬鹿大人、弱い矢は折れてしまえ!」とボッカに尻尾で攻撃する。よけるボッカ。
それを眺める遠音。回想。危険じゃないかと絵市。なにもしないわと遠音。わかった秘密にしておくよと言う。すると少年は、もう隠れているのは難しくなったようです。時期が来たようですね、この角はたぶんあなたのためのものです。と角を遠音に向ける。光る角。それを引き抜こうとすると、彼の正体が現れる。こんなのいや、と遠音は角を取り逃げ出してしまう。
それが今遠音が首からさげているもの。少年の元に行く遠音。帰ってきたわと遠音。それでどうするのと少年。すると、遠音は少年に抱きつく。遠音の後ろには忘却の旋律が写っている。少年には見えているようだ。「…あなたにあったあのときから、もう決まっていたことなのに。」すると、角を手に取る遠音。それに反応して目が光り「認証しました。」と少年。名前をどうぞ、僕の名前はユニコーンシリーズ・モノケロス11号。」「あなたの名前はスカイブルー。」「了解しました。」とスカイブルー。すると、遠音はかがんでスカイブルーに角を入れる。そしたらスカイブルーの額から角が生えてくる。「命令します、壁から手を抜きなさい。」壁から手を抜くスカイブルー。水がどんどん湧き出てくる。それを上から見ていた小夜子はあわてて逃げる。
ボッカが尻尾を射抜く。尻尾は取れるが、すぐに再生されてしまう。「ははは、今がモンスターの時代だと気付かぬ愚か者め。」攻撃を続けるロボット怪獣。「きりがない、どうする。あの鳴弦って技を使うしかないのか。メロスネームって何だ。」すると、忘却の旋律がボッカの耳元に口ぞえする。「そうか。」と思いついたボッカ。

「鳴弦、セレナーデの心。」

と唱え、弓を鳴らす。響き渡る鳴弦。すると、ロボット怪獣の色が変色し、体勢を崩す。そこに、「鳴り響け、僕のメロス。」「フラッーシュ。」とロボット怪獣を射止める。爆散するロボット怪獣。
落ちるみりさん。やった、というボッカは屋敷でそろばんをしていた大勢の者たちが外に出てダムを見ているのが見える。何かと思うと、自分の足元に水が押し寄せてきていた。と、アイバーマシンに乗った遠音が来る。ダムは決壊した洪水が来るぞと、そろばんをしていた大勢の者に伝えると、彼らは逃げ出す。脇で気を失ったままのみりさんを執事が抱っこする。「そのアイバーマシンは。」とボッカが聞くが、遠音は答えない。すると、

「鳴り響け、あたしのメロス。」
と、太ももにあるメロスの聖痕に弓をかざす遠音。赤面するボッカ。
「ストレートフラッシュ!」

と言い、放った矢は、ダムの壁画の絵の瞳の真ん中を撃ち抜く。
すると、打ち抜いた瞳の絵が消え、ガンバレ メロスと吹き出している絵市の壁画が現れる。「やっぱり絵市は天才だ。」と遠音。そしてダムは崩壊する。「感心している場合じゃない…って一人で逃げるなよ!」とボッカ。
谷の家は水に飲まれた。小夜子の元にボッカが来る。「お、生きてたか。」と小夜子。「何とかね。」とボッカ。「お、」小夜子が見た先には、道があった。
再び走り出すボッカと小夜子のアイバーマシン。後ろからアイバーマシンに乗った遠音が来る。遠音のメロスの戦士の聖痕が見える。やっぱメロスの戦士だったんだと小夜子。そのアイバーマシンどうしたの、それにあのダムにいた少年は? とボッカが聞く。すると、そのアイバーマシンが少年であると気付く。「あたしのアイバーマシンは、その辺のアイバーマシンと違うわよ。」すると、アイバーマシンは浮遊し、先に行ってしまった。「アイバーマシンに乗っていい気になってる奴は許せないって言ってなかった。」「行けー、負けるなボッカ!」「よおし!」道の先には山と空しか見えない。


・スカイブルーと忘却の旋律〜「遠音の後ろには忘却の旋律が写っている。少年には見えているようだ。」と描いたが、忘却の旋律が見えるのはメロスの戦士であって、アイバーマシンがどうなのかは言われてはいない。だがやはり見えてそうである。
・遠音の聖痕の場所〜ボッカや黒船は腕にある、それはバイオリンから来ているらしい。そして遠音はチェロ。ココはフルートだそうだ。もっとも発案については忘却ステーションを聞けば分かるが。
・弓を射るときの台詞〜ボッカはフラッシュであるが、この掛け声は普通に生まれた、しかし遠音の時はボッカの先輩にあたるのでレベルをあげたい、じゃあストレートフラッシュ、となったとき、ポーカー縛りが始まったらしい。また、黒船は何にもいってないのでまんま、ストレートなんだとか。
・「すでに択ばれた遠い道」〜この意味は遠音は昔からスカイブルーをすでに択んでおり、そして未来も決まっていたということか。あと「択ぶ」ってよいほうをとるという意味なのか。今後使ってみよっと。



●再び現れたロボット怪獣を撃退するボッカ。その後、絵市はダムの壁画を完成させるのは、君たちだからとボッカや遠音に言い谷を出る。遠音は過去を思い出しつつ、絵市に言われたこと、再びスカイブルーを見たことで、アイバーマシンであるスカイブルーとともに行くことを決意する。三度現れたロボット怪獣。いつもの戦い方では敵わない。鳴弦の技じゃないとだめだと分かったボッカは、忘却の旋律の口ぞえにより、鳴弦の技を発動。見事ロボット怪獣を破壊する。そして遠音はメロスの戦士の矢でダムを破壊する。ダムを破壊した先に現れた道。旅立つメロスの戦士たち、それはボッカと小夜子のアイバーマシンに加え、遠音とアイバーマシンになったスカイブルーの姿であった。

●好きになった思いは永遠、それが彼女の永遠か。あとボッカの鳴弦の技発動が分かった理由は分からなかったが、今のところは忘却の旋律はボッカの幻想である可能性が高いと思う。だがほかの人もボッカの見える忘却の旋律と同じものを見ているが。



『戦士は、他人の評価なんてどうでもいいんです。ただ自分の戦いを戦うだけだ。え、武装演劇集団って何? 次回、「猿人湾」。鳴り響け、僕のメロス!』



・追加考察、ボッカの鳴弦の技発動を発端とする考察
ボッカが忘却の旋律に耳元に囁かれ、鳴弦の技を発動する。この点について、忘却の旋律が囁いたのか、ボッカが気付いたのかの判断は視聴者に任せると、脚本家の榎戸洋司さんは言っている。では考えてみたい。
まず考えられるのは、ボッカの忘却の旋律はどこまで出来るのか、何であるのかである。それを表すものとして有力視されるのは第5話「君に届く声。」でのボッカと忘却の旋律である。ボッカは忘却の旋律の声が聞こえたと思って振り返るが、そこには誰もいない。つまりはボッカの妄想の可能性がある。先の話はあまり覚えていないので、このシーンだけしか判断材料がないが、このシーンが表しているのは、忘却の旋律は喋らないのではということである。そもそも、忘却の旋律とは旋律劇場に囚われている存在であり、というか、ぶっちゃけてしまうと本体は死んでいる。そして、モンスターキングの理想形の女性としているのがボッカには見えているのである。少なくとも作画においてはモンスターキングと遠音が見ている忘却の旋律はボッカと同じである。(黒船は忘却の旋律を見ている描写を思い出せない。ココも同じく。)だが、ココはこの先の話で、自分が見えている忘却の旋律とボッカの忘却の旋律とは別のものなのかなと言うシーンもある。このココの言葉から読み取れるのは、忘却の旋律とは個人の理想の象徴ではないかということだ。もしそのとおりなら今回の鳴弦の技発動はボッカ自身が気付いた可能性がぐんと高くなる。だが、ボッカは最終回で忘却の旋律の本体の死体をみて違和感を覚えていないから、自分が見た忘却の旋律とはまるで違ったわけではなさそうだ。それは同時に、みながみている忘却の旋律は同じものだと断定できるであろう。
別の視点からの考察として、ボッカが鳴弦の技発動の手前に「…メロスネームって何だ。」と言っている。メロスネームとは苗字に変えられるものである。まず考えたいのは、ボッカの言う「セレナーデ」とはいつ思いついたのかと言うことである。もともとのボッカの名前であろうか? 確かに公式サイトなどではボッカの名前は最初からボッカのフルネームは「ボッカ・セレナーデ。」となっている。だがボッカはメロスネームのことを知らない。では自分のもともとの名前をここで持ってきたというのか、まあ急に自分のメロスネームがセレナーデと思いつくとも思えないが。
榎戸さんはこうも言う、「ボッカ・セレナーデ」忘却の旋律というタイトルと似せることで主人公の名前と似ている方が覚えてもらいやすい。だが現代劇から始まるこの物語にセレナーデは合わないのでメロスネームとした。つまりこの発言は、ボッカには本名も存在していると言う証拠になる。原作どおりのボッカの名前、「芹名・ボッカ」と言っていいだろう。しかし、となるとますますメロスネームを思いついた由来が分からなくなる。
忘却の旋律がボッカの理想形であるとしたら、自ら言葉を発せられるとは思えない。しかし、榎戸洋司さんがメロスネームとしてセレナーデがあると言った発言からは、作中で出てないにしろボッカの本名は原作通り「芹名・ボッカ。」であると読み取れ、自らセレナーデという言葉を思いついた決定的なフラグは見出せない。今回は結論は出せないが、後に何か分かるかもしれないのでここでは結論は出せない。ただ、自分の直感としては、忘却の旋律がボッカの理想形のような存在に近いのではと思うことから、自分で思いついたのではないかと思うんだけどな…。あと、追記、忘却の旋律は見守る存在であるらしい。まあ答えになっていないが。