第4部 猿人湾編


太いパイプが連なる工場。そこを通るトラックの前に一人の青年が立ちふさがる。それを見た運転手は恐れをなして逃げていく。トラックの横に立つ少年。手を拳にし、横のトラックの荷台を強打すると、トラックの荷台は向こう側までも大穴を空ける。そして、再び拳を構える青年。かたがた揺れるトラック。それを少し離れた所から見ている三人の人影。


『猿人湾』   ・   『ユニコーン・シリーズ』   ・   『君がまだ知らない歌』


●いままでボッカと小夜子は2人でずっと旅してきたが、一旦別れ、その後再開した。そしてボッカはツナギじいさんに再開。またメロスの戦士であるココと、3人のアイバーマシンからなる武装演劇集団チェンタウロに出会う。彼らのエンジン1の破壊に協力するボッカ。そこにいたのは自分を意思を持たずにただ働く猿人であった。そしてボッカらはエンジン1を自爆させるが、チーフブイに思いを寄せていたツナギじいさんは帰らぬ人となってしまった。

●いったん別れたボッカと小夜子だが、彼らはもう二度と会わないことも出来たがそうしなかった。そしてココにも指摘され、二人は互いを意識し始める。この話はツナギじいさんの最後の選択が生についての課題を投げかけてくる。そして猿人、いわばただ言われるままに働くだけのサラリーマンのような人々。それは人間ではないという。人間とは機械じゃない、自ら感情をもって働くべきだ。





   第4部 猿人湾編(緑・黒) 第9話 『猿人湾』(黒・白)


       


山。ボッカがバイクの上に直立しながら弓を連続で放つ。見事に的を射た矢。ボッカは遠音に言われたことを思い出す。「あんたの矢はうるさい。」「弓がうまい自分を喜んでるのだろう。」「それじゃあ、超えられない壁があるんだ。」苦い顔をするボッカ。
「行くのか。」と、修行中世話になったと思われる髭を生やした男性が言う。そして「年寄りのメロスの戦士を見たことがないのはなぜだと思う。」
横に彼の子供と思われる女の子が現れる。「今からでも遅くない、生きていくことを考えろ。」「だから、そういうあなたたちが生き残るために、誰かが戦わなきゃ…。」とボッカ。
「世話になったね。」とバイクを走り出すボッカ。「戦士って、どういう人たち?」と女の子。「世の中の、負け組みだ、そういう奴はとりあえず戦士とか名乗って、かっこつけてるだけなんだ。」
腕輪の鎖がある方向をさして伸びている。それを確かめる小夜子。
★と、声が聞こえる。

「また暗闇だ。」
「光のない、だれもいない、時の止まった、暗い場所。けれど、この暗い場所は、前にもきっと来たことがある。」
「そうだ、ここは僕がよく知っている、あの振りむいてはいけない…。」
「闇の中に、自分が。」

そこには少女がいた。やあと話しかけてくる。少女はその腕輪は何かを聞く。小夜子は「私の好きな人の場所を教えてくれるの。」と答える。「どれくらい好きなの。」と聞く少女。「どれくらい好きか確かめるために会うの。」と言う。「あなたは何やってるの。」と小夜子が聞くすると「近くで演劇やってるんだ。」と言う。「生きる阿呆に死ぬ阿呆〜、同じ阿呆なら生きなきゃ損々〜。」そう言いながら少女は行ってしまった。
小さなめがねをかけた青年が電話で話している。またトラックがやられた。納品が遅れるとまずい、空のやつと連動のテストもあるのだし、「エンジン2のほうも年内に着手するんだ、サルサルサル、サルベージさ。」と、彼の目にボッカが映る。
ボッカと小夜子が、「すこし痩せた?」と小夜子。小夜子はファミレスでバイトをしていたらしい。意外な反応のボッカ。そして、鎖が海の向こうを指したと言う。その後、どうして来たのと小夜子。もしよかったら会おうと言ったからとボッカ。「もしよかった、わけ。」と小夜子。「ちょっと顔を見に来ただけだよ。」とボッカ。「そっか、それだけか。」と顔を上げる小夜子。と、そこに男が声をかけてきて名詞を差し出す。
工場の社長室に迎えられるボッカ。呼び出しである青年は自分はここの工場長で橋本勝と名乗る。工場を見るボッカに、そこのエンジン1が海上プラントの動力源になっていると言う。そして、大型製品を作っていると言う。そして、賊が素手でトラックに大穴を事を話す。そして、できれば終身雇用でボッカを雇いたいと言う。窓枠が赤い。そして、私はメロスの戦士を高く評価しており、悪くはしないと言う。それを聞いたボッカは言う。

「あなたはメロスの戦士を誤解している。」
「戦士は他人の評価なんてどうでもいいんです。」
「ただ、自分の戦いを戦うだけだ。」

青年はすこし見直したようだ。とにかく今日の護衛はお願いしたいと言う。賊のことが気になるボッカは受けることにした。

「振り向いてはいけない。振り向くことの出来ない闇の中。」
「もし振り向けば、あの子が二度と帰ってくることはない。」

トラックを襲った者たちのアジト。アジトに入ってきたフックをかぶっている青年が連中がボディーガードを雇ったらしいと言う。俺たちチェンタウロンに敵うものはいないと帽子をかぶった青年。あの子かもしれないなと懐かしい人の背中。「あの子。」「あの子ってだれだ。」

「耳を澄ませば、何か聞こえる、安らぎの音。」
「どうやら、目の前に川が流れているらしい。」
「闇の中を、かすかにその川藻が光っている。」
「そして、その川を流れていくものがある。」


・冒頭〜この部だけ『20世紀に大きな戦争が…』のナレーションがない。
・猿人湾〜=エンジン1の掛け言葉。
・道路標識〜工場にはバイク禁止の標識や、トラックが急停車するときに駐停車禁止の標識が出てくる。
・ボッカの服〜ボッカの服が鎧っぽくなっている。1・2話では制服。第2、第3部では制服とマントだった。
・ボッカの修行期間〜小夜子と別れてボッカが修行した期間は一ヶ月ぐらいらしいのだが、鼠講谷編と猿人湾の間には4ヶ月もの間が会ったらしい。
・名刺から分かる情報〜名刺には会社名として猿回産業株式会社とある。後に(有)猿人エレクトリカル・テクニカルサービスと言う社名が出てきたときモンスターの会社はすべて有限会社なのかとおもったが、そうではないのか。単に地域に溶け込んでいるというだけかもしれない。 また、所在地として猿港市大港と書いてある。(その後の一の一の一というのがすごい)これから分かるのは、この部の名前は猿人湾であるが、それは物語で実際使われている地名ではないと言うことである。これは他の部でも同様である。 あと電話番号が六四七二の五〇の七五五五(FAXは最後が六以外同じ)とあるが、なにか掛け言葉でもあるのか。 ・工場長の納品〜トラックの中に入ってたのはグローバルやまねこへのロボット怪獣だが、電話の流れからだとエンジン1に聞こえるが。どっちなのかな。
・りんごの裏の皮をわずかに食べる〜意図不明…。りんごはいわゆるあれを例えることが多いから、欲しているとか?


(オレンジ・白)忘却の旋律(オレンジ・黒)


トラックを護衛するボッカ。小夜子は社長室で豪華な食事をしている。トラックが止まる。トラックの先に4人の姿。弓を向けるボッカ。トラックを持ち上げる帽子の青年。彼に向かって矢を放つボッカ。それを素手で掴む帽子なしの青年。「俺たちは、ただその積荷を破壊したいだけだ。」「そして、その川を流れていくものが。」

「猫だ、檻に入った子猫が流されていく。」
「あわてて駆け出す。『いけない、早く助けなきゃ。』。」

「危ないから下がっていろ。」帽子なしの青年がブーメランを投げてくる。「鳴り響け、僕のメロス。」弓を放つボッカ、だが高速でボッカの目の前に駆け寄り、それを悠々とよける。そして、今度はブーメランを3つ投げてくる。看板を意図も簡単に切るブーメラン。ボッカはアイバーマシンに乗り込む、すると、その青年はスケートボードで追いかける。「なんでスケートボードがあんなに速いんだ。」とボッカ。すると、ブーメランがボッカの弓にあたり、弓が切れてしまう。焦るボッカ。すると、バイクのハンドルが取りはずせるようになる。その形は弓のようだ。これが弓として使えるのかとボッカ。それをとると、アイバーマシンは勝手に動き出す。えらいね、あのアイバーと少女。逃げるのを辞め、急旋回するボッカ。両者向かい合って突撃する。「まて、。」とフックの青年。急停車する帽子なしの男。それを見てボッカも停車する。
すると、トラックの中身が見えるようになる。何あれとボッカ、ロボット怪獣のパーツさとフックの青年。

「すでに子猫の姿はない。」
「川も消えている。」
「再び、完全な闇の中。」
「ついにここまできてしまったのですね、王様。」

彼らのアジトに招待されるボッカ。何で僕の名前を知っているんだとボッカ、すると三郎に聞いたと言われる。「武蔵野三郎。現在ハイガネチィック技術第一位と呼ばれる科学者。」と少女が言う。(近くの壁に縦で237とある)と、ボッカの目にツナギ爺さんが映る。「ツナギじいさん!」とボッカ、笑いながら「かわいい、君、なかなかいいよ。」と少女は言う。
帽子なしがヒカリ、フックがニック、帽子ありがクロン、そして少女はココという。そしてこの4人が武装演劇集団チェンタウロだという。味方なの?とボッカはツナギじいさんに言うが、むずかしい質問だと返す。おまえこそなぜモンスターユニオンに協力するとクロン、そう、なんでトラックにロボット怪獣の部品があるんだと聞くボッカ。ツナギじいさんがあの工場長はモンスターユニオンの工場長だからなと言う。「じゃあ、小夜子が…。」
風呂に入っている小夜子。「ビバ・モンスターユニオン、…。」の斉唱。工場長の青年が鎧を着て歩いてくる。その脇で頭を下げる人々。専務ぐらいのような男が納品が危ういと言う、その向かいには女性で、工場長の部屋に誰かいますよねと言うと、前の奥さんと、さらに前の奥さんだと聞かされる。閉じ込めているんですかと女性、だって仕方ないさ、二人とも猿人になってしまったのだからなと男。
檻に2人の何かがいる。それに向かってようやく3人目が見つかったよと工場長。うつむいていた顔を上げる猿の仮面をしたもの。そして、工場長は大きなねじ回しでねじを回す。 何かの音に気付いた小夜子。「あれ、閉まってる…。」


・腕輪の鎖〜小夜子の腕輪の鎖は、自分でも動かすことが出来るらしい。
・工場長〜エージェントの名前はハッスルもんきーというらしい。また彼はおばけを見える発言は、モンスターのように振舞おうとしても、根はまだ人間であるということらしい。
・アイバーマシンの型番〜ニック=7号、ヒカリ=8号、クロン=9号らしい、そしてスカイブルーは11号。ボッカと黒船さんのは何号なのか。
・ココの名前〜ココの名前は赤子が泣くという漢字から来ているのだとか。彼女は子供のころ不幸だった、だから天真爛漫に振舞わないと、自分が幸せにならないと知っているという設定らしい。
・武装演劇集団〜なぜ演劇集団なのか、それはこれを立ち上げたココが、アイバーマシンたちは機械であり、人間として育てたいと思ったから演劇をやらせたらしい。



●遠音に言われたことがきっかけとなり小夜子と別れて一人修行していたボッカ。そして、「もしよかったら。」の約束のもと小夜子と再会する。そこで呼びかけられたのは、その地を取り仕切る工場長であった。彼はトラックを素手で大穴を空けた賊から守って欲しいのと、それと同時に高く評価しているメロスの戦士を自分の会社に終身雇用したいという願い出る。だがボッカはメロスの志のもと断る。しかし、その賊も気になるし、今日のだけは受けることにする。そして、ボッカの前に現れたのは、強力な戦闘能力を持つ武装演劇集団チェンタウロであった。一旦は戦うものの、相手の制止により、戦闘は停止。ボッカは彼らのアジトに招かれる。そこにいたのは、1話以来行方不明となっていたツナギじいさんであった。そして、彼らによって工場長がモンスターユニオンのエージェントであることを知る。

●修行するボッカ、まだまだ実力不足を感じ、素直に修行するのはいい事だと思う。小夜子と再会、言葉にはしないがお互い惹かれあってそう。ボッカの台詞、「ただ、自分の戦いを戦うだけだ。」かっこいい。ボッカはメロスの戦士の精神をもう持っている。自分もこう言えるようになりたい。とあるネトゲで、無理に味方と合流せず自分が出来る戦いをしたらうまくいったことがあった、関係あるか知らないが。



『へっ、武装演劇集団チェンタウロにそう簡単に手出しは出来んさ。』『連中、一体何者なの? 次回、「ユニコーン・シリーズ」。』『鳴り響け、あたしのメロス!』






あの後すぐ家を出たのだとボッカ。その弓をみれば分かるとツナギじいさん。ツナギじいさんはずっとここにいて、武装演劇集団チェンタウロとここのモンスターと戦っているそうだ。

「いや違う。」
「いつ気付いたのではない。」
「それは、最初から特別だったんだ。」

   第4部 猿人湾(赤・黒) 第10話 『ユニコーン・シリーズ』(黒・白)


       


〜トラックを護衛する仕事を請け負ったボッカは、武装演劇集団チェンタウロに出会う。彼らのアジトに迎えられたボッカは、ツナギじいさんと再会。また依頼を受けた工場長がモンスターユニオンのエージェントだと知る。そして、小夜子はその工場長の元にいるのであった。


影が赤みががっている工場。ドレスに着替えさせられ鎖をはめられた小夜子。ボッカが許さないからと小夜子。
この地ではロボット怪獣の最大規模の製造地になっているそうだ。

「世の中って、見慣れたもの正体をちゃんと知ると、驚くよね。」

とボッカ。だがそれだけじゃなく、あのエンジン1は宇宙船であり、人類の最終兵器であるミトラノームを完成させるパーツであり、敵はそれを使ってミトラノームを制御するつもりだということだった。それはだけは阻止しなければならない、わしはあのエンジン1に責任がある、とツナギじいさん。そして、チェンタウロと共に今夜破壊しに行くらしい。だが小夜子は助けなきゃならない。
アルコトナイコトインコ登場。モンスターがいらっしゃったそうだ。
小夜子を助けていては奇襲が無駄になるとニック。「モンスターを倒すためなら人間の犠牲が出てもいいの。」とボッカ。「”可能”な限り犠牲は避けたい。」とヒカリ。「僕は…そこまで鬼になれない。」とボッカ。するとクロウが、こいつが見つかっても俺達は負けない、だが作戦を邪魔するなと言う。と、そこに「助けたいのは君の恋人だね。」とココ。「そんなんじゃないけど…。」とボッカ。すると少女は、別行動でいいじゃない、私はボッカと一緒に行くと言い出す。ボッカに抱きつくと「にゃ〜ん。」と声を出すココ。顔を引きつらせるボッカ。ココがそういうならいいとニック。うまくやるとココ。

「値打ちのありそうなものは、みんな取られ、残ったのは猫だけ。」
「猫なんてもらってどうするんだと思ったあなた。」
「そうカリカリしない。」

着替えて一礼をするココ。
バイクのサイドカーに乗っているココ。三郎のことを慕っているのでしょというココに、人類のために身を捨てて戦う偉大な人なんだとボッカは言う。それに対し、それは高く買いすぎボッカを見ずに言う。
ボッカたちを別行動にしたのはいい陽動になるからかと言うツナギじいさん。さあねとニック。ニックは聞く、エランヴィタールは何だと言う、ツナギじいさんは答える。「ペガサスシリーズの試作、第一号、ワシのハイバネティック技術の理念を形にしたものだよ。」
エレベーターを降りてくる工場長。その先にあるものは…。


・ミトラノーム〜20世紀に衛星軌道上で組み立てられた宇宙要塞ミトラノーム。33の宇宙船の宇宙船が合体して完成する人類の最終兵器。対象ドライブ用の空間設定基地なのだそうだ。アイバーマシンが飛ぶための生体磁気反射装置。33のパーツのうち、31は合体し数隻は分裂墜落したらしいが、その大半は今も衛星軌道上にある。そして最初から動かなかったパーツの1つであるエンジン1が今ここにあるものだ。そして、残るパーツのエンジン2もここの海底に沈んでいるらしい。
・ココの朗読〜ココに限らずチェンタウロの朗読は「フリクリ」の小説版第2巻から引用しているらしい。(東京駅編の「少年が手を入れている壁はダムだ。」は例外の模様。)作中に入れる意味は…。ストーリーとしては、自分は闇の中におり、振り向いてしまえばあの子が帰ってこなくなってしまう。そして、川があって猫が流されていく。助けようとするが猫も川も消えてしまい、また闇に戻る。最後に言う王様はこの話の主か。本編との接点は分かる気はする。小夜子の黒船さんへの思いは堂々巡りということか。檻に入った子猫とは、何も知らない、社会の枷に囚われているボッカのことか。そう言ってしまえば、トラックの中身を知り真実に近づいた、檻にとらわれた猫のボッカはいなくはなったとは言えるが。だがここまで来たと言う王様というのもボッカに聞こえるが。闇とは今の社会であり、振り返っていけないものとはモンスターの恩恵か。そして帰ってこないものとは正義なのか。う〜ん分からないが、まあ本編とある程度は平行関係にあるのは間違いないはず。


(赤・黒)忘却の旋律(赤・白)


エレベーターの先にある扉に到達した工場長。ノブを握るのをためらい、目をつむりながら部屋に入る。
★中はボーリング場であった。中は青暗い。赤はない。巨大な白い月のライトの下で、一人の女性がボーリングをしている。彼女が投げ終え座ると、その後ろには道路の信号が立っており、赤が点滅している。付近に犬が一匹。そのもとに来る工場長。犬を見てお好きですねと工場長。信号の点滅が赤から白に変わる。私は球転がしだからと女性。また、新しいのを連れ込んだのと言う。工場長は今度こそ永遠にいっしょにいられると言う。すると、「あなたは永遠の意味を誤解しています。」「どんなに愛しあった相手でも、いつかは生き別れるか死に別れるかふたつにひとつです。」と女性。「見ざる、言わざる、聞かざる。」と女性に聞こえないように工場長はつぶやく。赤いボールが来る。信号が黄色に変わる。突然悲鳴を上げる工場長。赤いボールを持ったは女性は何を怯えているのという。ピンではなくかつて自分が苦めたものたちの顔をしている小さな幽霊がいると工場長。 ★ボールを投げる女性。ボールはピンに当たることなく転がり、ループ。そのうち工場長の顔のアップもループ、時折犬ののどぼとけ。ピンに当たった音の後、霊柩車の扉が閉まる。全てのレーンに同じ速度で転ぶボール。その分の霊柩車。霊柩車が出発する時に鳴らす音。帰ってくるボール。そのボールに光が反射し、遺骨が写る。満足したような顔で、彼らが来ましたと女性。ボーリング場によくあるモニターにボッカたちの姿。
ココはエンジン1を破壊したら、ボッカから聞いた旋律劇場を探すそうだ。ココが望むなら付き合うとヒカリ。工場につながる扉の前に来たボッカ・ココ・ヒカリ。すると、ヒカリが何かを感じ取り、腕輪をした女の子かと聞く。なんでわかるのとボッカにヒカリだからとココ、そして、腕輪という言葉で前にあったことを思い出す。ヒカリによると、なんとエンジン1の中にいるそうだ。扉に大穴を明けるヒカリ。すごいとボッカ。中に進入。中は赤い。すると白い照明。そこには猿のようなロボット怪獣。中の工場長が、君はうちで雇った警備員、給与を見直す必要があると言う。猿芝居はやめろとボッカ。そして、メロスの戦士はモンスターユニオンを倒すのが仕事だと言う。この女を連れ戻しに来たのだろと工場長。そこに×印のはねじ回しにかけられた小夜子。最初は苦しそうにしていたが、ボッカを見て「この女を奪い返しにきたのか!」と声を張り上げる。目をつむって「うるさい。」と言うボッカ。エランヴィタールを呼ぶボッカ。そして、弓矢を放とうとする。それに向かって「消しサル!」とロボット怪獣の巨大なねじ回しでの攻撃。だがそれをヒカリが手のひらで止める。まるで動じない。するとボッカに「呼ばないでくるんだ、いい相棒だろ。」と言う。そして弓を引きなおすボッカ。だが小夜子の張り付けがきつくなる。悲鳴を上げる小夜子。動けないボッカ。するとココがボッカの弓を取り出す。そして、ココの顔にはメロスの聖痕。そこに矢をかざし、

「鳴り響け、私のメロス!」
弓を取り出し、構える。小夜子に矢が当たることを恐れ、ダメだとボッカ。
「フォーカード!」

そう言って放たれた矢はいくつか矢とハートに変化し、小夜子の杭の部分に見事に当たる。落ちる小夜子。ボッカが助けようにするも間に合わないと感じる、それを救ったのはヒカリだった。助け角を見て反応するボッカ。「鬼だからね。」とヒカリ。
ボッカがロボット怪獣に狙いを定める。そして腕を打ち抜く。とそこに壁を破壊して表れたのは、2台のアイバーマシンとツナギじいさん。するとその2台のアイバーマシンはニックとクロウになった。逃げる工場長、アイバーマシンの姿となって追うニック・ヒカリ・クロン。
好きな人ってこのボッカなんだねとココ。ただいっしょに旅してただけよと小夜子。嫌われてるみたいだけどねとボッカ。本当に嫌いなら一緒に旅したりしないよねとココ。何も言わない小夜子。顔を背けるボッカ。
彼らは何なのとボッカはツナギじいさんに聞く。心を持った禁断のアイバーマシン、ユニコーンシリーズの試作機のうちの3台だという。そして、エンジン2にあったのをココが目覚めさせ、名前を付けたそうだ。
工場の爆破を準備するツナギじいさん。まだ人がいる、仮面付けてた人が、猿人とか言ってたと小夜子。それに聞いたツナギじいさんは驚く。「『猿人』だと!」


・夕焼け〜夕焼け時の影にある赤は夕焼けに近いが。
・ねじ回し〜モンキーというらしい。知らなかった。混乱を招くかもなので本文中は書かなかった。
・ボッカの弓矢を射るシーン〜大量のエランヴィタールが矢の道筋を囲んでいる。アイバーマシンはボッカを祝福しているらしい。
・ボッカの矢〜ボッカは矢一本取り出し、その後同じところの矢をココが矢を取り出すが、空の矢の入れ物がない。
・ロックオンサイト〜メロスの戦士が矢を放つときに出てくるロックオンサイトであるが、それぞれをイメージした音楽記号が使われているらしい。
・たまころがしというモンスター〜冥界を支配し地底世界にいる、そして生死、運命を司っている神、ヘカテがモデルらしい。そして彼女は生の象徴であり、犬が死の象徴であり元ネタのヘカテは一体らしい。また伝説で運命を司るものが持つ者は十字路になっている、その意味とは分かれ道を意味している。そのため信号機をもってきているらしい。
・ボーリングの玉はおちていっているのは冥界をイメージしているらしい。人の死をゲームとしている。

・モンスターの永遠〜遠音も永遠を言っていたが、彼女は永遠なものなんてないといっている。


●工場長に捕まってしまった小夜子。それを助けにいくと言うボッカは、エンジン1の破壊を目的とするチェンタウロのメンバーに反対される。だがココの発言の元、ボッカとココ、それにヒカリともに行動する。工場長と戦うボッカら。小夜子のピンチを助けたのはココのメロスの戦士の矢であった。そして、ほかのチェンタウロのメンバーはみなアイバーマシンに変身できるのであった。無事小夜子を助け自爆作業に入るが、まだ猿人と呼ばれる人がいると小夜子が言うのであった。

●ココの演劇にからめた台詞などは結構お気に入り。工場長はやけにモンスターを恐れている、そういうキャラなのか。そして、ボッカと小夜子はココに言われ互いをすこし意識した模様。そして猿人とは?



『バカだな、黒船さんは小夜子のことを大事に思ってるよ。だから、危険な目にあわせたくないから、遠避けているんじゃないか。次回、「君がまだ知らない歌」。鳴り響け、僕のメロス!』






エンジン1。逃げるロボット怪獣と追うアイバーマシン。「…去るものは追わずというのにな。」と、壁が回って建物内に逃げる。ボッカたち。「猿人って知ってるの。」とボッカ。見たことはないが、あの人が言っていたとツナギ爺さん。

   第4部 猿人湾編(赤・黒) 第11話 『君がまだ知らない歌』(黒・白)


       


〜小夜子を救出したボッカらはエンジン1を自爆させるための準備をする。だがそれを静止する小夜子。まだ中には人がいる、猿人といわれるもの達がいると言う。


再びモンスターの部屋に来た工場長。そこにはインコ。モンスター様は帰ったと言う。あと秘密通信。相手はグローバルやまねこ。彼にもう少しお待ちくださいと工場長。新型のタイガーヘッドが届くのを楽しみにしていた、「トラトラトラ、トラブルですか?」とグローバルやまねこは言う。あなたの運河に届けるから、宇宙要塞へのアクセステストは今夜中に始められるのかと聞く。彼の頭には蝶が飛んでくる。そして、蝶を掴むグローバルやまねこ。
宇宙要塞が近づいているようだな、すぐに爆破してやるとツナギ爺さん。人がいるなら助けなきゃとボッカ。猿人か…、20世紀戦争末期、モンスターを一掃する作戦が、後一歩で完成するはずだったが、このエンジン1はついに動かなかった、立案者で推進者であるチーフブイが動かなかったからだと、その人は人類の裏切り者だと言われた、その人は、私の尊敬する女性の恩師だった。その人はこの宇宙要塞でモンスターを一掃してはいけない、猿人が…と言い残し行方不明になったらしい。
必死だったのよボッカはあなたを助けようとしてと二人に言うココに、助けるのは当然だ、小夜子は黒船さんがいるしとボッカ。すると、黒船バラードのことかとココ。名前だけだけどね、恋人と言うココに嫌われているの私と答える小夜子。するとボッカが、「バカだな、黒船さんは小夜子のことを大事に思ってるよ。だから、危険な目にあわせたくないから、遠避けているんじゃないか。」と言う。黒船さんは立派だ、自分もそうなる。そう決めたんだとボッカ。

「耐え難きを耐え、偲び難きを偲び、恋敵を恋するわけね。」

とココ。
★「開くぞ。」とツナギじいさん。中は暗い。中から風。エランヴィタールのライトを照らすと、中には大量の機械を回す人。ボッカの背後に忘却の旋律。「猿人?」「人間だろ。」と言うボッカに対し「こいつらは人間じゃない、でもパワーは持っている。」とロボット怪獣の工場長。何をさせていると聞くツナギ爺さんに、「この船の動力は私には動かせない、だから猿人を動力にしている。」と答える。また「人間になりきれなかったもの、もしくは人間になるかもしれないものだ。」と言う。


・ツナギ爺さんと三郎と言う呼び方〜ボッカとココの1人への呼び方。ツナギ爺さんというボッカは、人生を一通り終え恋などしないする人としてみているのに対し、三郎と呼び捨てにするココは、彼をまだ恋などをする人とみているわけがあるらしい。
・忘却の旋律の登場〜前に忘却の旋律はボッカの理想かと考察したが、今回の登場の仕方はそうは見えない。今回のシーンをみて思ったのは、忘却の旋律は社会の理不尽や矛盾が現れているときに憂いな目をして現れる、ということである。


(白・赤)忘却の旋律(赤・白)


弓矢を放ったボッカの矢はロボット怪獣の胸に直撃する。下に落ちるロボット怪獣。ツナギ爺さんは動力を止めるシステムを見つけ、猿人たちを停止させる。「サイバー猿人だ。」と言う。頭に輪がはまり、モンキー命令、皆殺しにしろと命令する。周りには猿の顔をした多数のロボット。そこにニックらが来る。ナイフを投げ、サイバー猿人を倒すクロン。「私は去る!」えらそうに言い放し逃げるロボット怪獣の工場長。大きなサイバー猿人を蹴りでしとめるニック。「鳴弦、ニンナナンナの心。」とココ。効いたに思ったが元通り動くロボット怪獣。驚くココ。それらをナイフで倒すクロン、ブーメランで倒すヒカリ。ヒカリが「エンジン1が動いている。」と言う。「三郎がやったんだ。」とニック。外ではエンジンが海に身を投げている。ツナギじいさんによると、発射させてから自爆させる模様。敵来襲。弓を放つボッカ。すると、小夜子の鎖が反応する。
ついに自爆コードを発動させるツナギ爺さん。すると、画面が何か反応している。ツナギ爺さん何かいじるとチーフが写される。エンジン1が海上を走り、打ち上げ体制に入る。その衝撃で海に落とされる工場長のロボット怪獣。

「一瞬、稲妻のような閃光が、真昼の奥上をまばゆく染める。」

「もう脱出しないと危ない。」とニック。なにやってるのとツナギ爺さんに言うボッカに、ツナギ爺さんはモニターのチーフブイを見たまま動かない。「あなたは、本当に裏切ったのですか。わしゃ、ずっーと待っていたのに。」「この宇宙要塞でモンスターを一掃してはいけない。猿人が、私は、猿人の存在を知ったからです。この宇宙要塞計画は、私の手で、私は、浅はかな科学者でした。」涙を浮かばせるツナギ爺さん。「本計画を推進してはいけない、なぜなら、。」「チーフ、わしゃ、あんたのことを…わしという男は…。」「それから三郎、もしよかったらあなたの申し出…。」と、そこで映像は切れてしまった。
ツナギ爺さんの下に駆け寄るボッカ。「戦いはまだ続くんだ、しっかりしてよ。」だが、ツナギ爺さんは映像がまだ残されているのではないかと思い、火の中に駆けていってしまう。小夜子を見るボッカ。小夜子を傍らに乗せ、アイバーマシンで降下するボッカ。自爆するエンジン1。「ツナギ、爺さん…。」
「助けられなかった、ツナギ爺さん、自分から炎の中に飛び込んでいった。」「あれが三郎の生き方だったんだから。あの人は、あの人の人生をちゃんと生きたんだ。」とココ。ボッカのほっぺにキスする小夜子。「ありがとう、助けに来てくれて。」だが、小夜子の鎖が海の向こうを指す。「黒船さん、やっぱりこの向こうにいるんだ。」「行くんだよね。」「ああ、前に進む。今の僕にはそれしかないんだ。」とボッカ。その様子を見ているインコ。海の向こうを眺めるボッカ、小夜子、ココらチェンタウロの4人。


・ココの鳴弦が効かない理由〜彼らの中には人間が入っていったためらしい。サイバー猿人。サイバーとはコンピュータの意味だが、電脳化でもしてるのか、冗談だが。まあ体を機械化しているだけなのかもしれないが。
・海に身を投げる猿人〜単にメロスの戦士が人間を殺したように見せないためらしい。
・チーフブイ〜彼女は行方不明になったのは、彼女はこのプロジェクトを辞めさせたかったが、すでに自分の力で辞めさせることはできなかった、そのため、行方不明になることで目的を果たしたということらしい。
・「君がまだ知らない歌」〜この題名の直接的な意味は、恋を表している。そして、今回の話でツナギ爺さんの恋、そしてボッカは恋をまだ知らないが、恋が始まると言うことらしい。



●後一歩で完成するはずだったエンジン1は、推進者のチーフブイが動かなかったために中止された。その理由が猿人と言っていたと話すツナギ爺さん。そして、エンジン1に進入すると、中には大量の機械を動かす人、猿人。工場長は彼らのことをパワーのある、人間になりきれなかったもの、もしくは人間になるかもしれないものだと言う。猿人たちを停止させ、ついには自爆システムを作動させるツナギ爺さん。だが、チーフブイの映像を見たツナギ爺さんはそのままエンジン1にとどまってしまう。脱出したボッカは悔やむ。助けられた小夜子はボッカのほっぺにキスする。しかし彼女の鎖が海の向こうを指す。行くんだよねと言う小夜子にああ、自分は前に進むしかないんだとボッカは言う。

●小夜子がボッカのほほにキスするも鎖は海の向こうを指す、嫌なところですねー。でも一時鎖はボッカに反応した模様。エンジンを動かす猿人、彼らは自分の意見を持たない人間。下手したら社会のサラリーマンかもしれない。



『これ、黒船さんのアイバーマシンだよね。ずいぶん長くほっとかれたみたいだけど。お前の相棒はどこに行ったんだ。次回、「迷宮島」。鳴り響け、僕のメロス!』



・追加考察、三郎の生き方。
こんなことを考えたことがある。三郎のような生きていられたのに死ぬ行為を、自分はどれも無駄死にだと思っていた。だが、別のところでこうとも思いついている。それは個人の勝手であり、個人がそれでよいと思うのなら、それでいいとはいえないが、ひとつの選択なのではないかと。
この世界に生きる意味は何かという話はよくある。そして、さまざまな意見があるが、実際のところはその答えはないのではないだろうか。そして、そのとき思うのは、この世界で最後に残る真理は、「人とはみな結局はひとりひとりの意思によって生きている」そして、「世界とは自分の意図しない死を迎える人がいれば、自分の意図にそって死ぬ人もいる。」ということである。
ようするに、三郎は自らの意思によって死んだ。(正確には想っていたチーフブイの映像が残されて居るのではないかと思い、また、それが見れないと生きていてもしょうがないと思い)
この行為は、「人とはみな結局はひとりひとりの意思によって生きている」に沿っている。要するに個人としては自殺は選択の一つとして存在しているということである。
ただ、自殺したことで悲しむ人がいるのを個人が知っていることが、自殺という選択肢を選ばない要因であり、なるたけそうなればいいのだが、それほどの人の存在がみなにいるとは必ずしも言い切れないのもまた事実。
要するにまとめとして、自殺は生きる選択肢に存在してよい。それは個人の勝手である。…と思うのだが、まだ何か言い足りない。今回はここで切る。