第1部
『20世紀に大きな戦争がありました。』
『それは、人間とモンスターとの全面戦争でした。』
『言葉では到底語りきれない激しい戦いの末、勝ったのは、モンスター達の方でした。』
『月日は流れ新世紀になりました。そして、人々はあのメロディーを忘れていったのです…。』
星の下に赤い地球。(赤、この赤とはこれからいくらでも出てくる。モンスターの兆候である)。それを流れ星のように?流れるいくつかの光、すなわちメロスの戦士。そして地上でバイクで駆ける「メロスの戦士」。それをよそに一人歩く女の子、「忘却の旋律」。そして、激しい空への銃撃を背景に、「忘却の旋律」は踊る。このシーンが流れている最中、「忘却の旋律」による冒頭に書いたナレーションが入る。その後、頭から角を生やした骸骨や、頭から角が出ている何者かが絞首刑になったカットがある。これはモンスターという解釈でいいのか。この作品では、実際のところ角を生やしたモンスターは出てこないのだが、後に出てくるアイバーマシンが人間化したとき、角を生やすことがある。だが、この場面はモンスターと考えていい気がする。
『メロスの戦士』 ・ 『長い放課後の始まり』
第1部のおおすじ
●ボッカは普通の高校生。彼は高校に違和感を感じていた。そんな中ボッカは小夜子、黒船、さらにはモンスター、そして忘却の旋律に出会う。そしてボッカは、黒船を追い、忘却の旋律に会い、モンスターを倒すため、アイバーマシンに乗り旅立ちを決意する。それに小夜子も付き合うのであった。
●学生の時期。子供と大人の境を行ききする時期とは、社会に対する不満があるものだ。だが、社会を生きる多くの大人は、社会をあきらめて生きている部分がある気がする。そんな社会へボッカは旅立つ。
第1部(白・黒) 第1話 『メロスの戦士』 (黒・白)
〜()内の意味はタイトルと背景の配色を表している。これらは作品と何か関係あるかもしれないので一応記録しておく。
→次話
第1話のあらすじ
家が写る。なんか111を左右逆にしたような家々。そして主人公登場。名前はボッカ。声は桑島法子。最初らへんのシーン、姿は出てこないが親はボッカが追試を受けることになったことを話している。ボッカにはその会話は聞こえてないらしく、学校に行くため玄関を出る。学校へ向かう最中。電車をボーっとみるボッカ。「追試んぼうさん」。メガネをかけてるので「がねっこ」と呼ばれている幼馴染の女の子が来る。2人が歩いていると、ツナギじいさんが声をかけてくる。ボッカは挨拶を普通にするが、がねっこは許さない。がねっこによると、あの機械屋は危険らしい。そしてボッカにこのままだとまともに就職できずにツナギじいさん一緒にいる流れ者の男みたいになるよと言う。瓦礫の中で使えるものがあるか探していた彼がボッカらを見る。ボッカは少し驚くが、見返す。
弓道の授業。先生が弓を引いている。言葉通り、矢は引いていない。それらを整列して見ているボッカと生徒たち。みんなきっちり弓とともに整列しているが、ボッカの弓が整列に反している。矢をセットしていないのに弓を引き、気合を入れて放す先生。先生のごとく、「心の矢は的をはずさない」のだそうだ。そして生徒は「先生の矢が的を射抜くのがみえた」と言う。「心の矢は、精神がとき澄まされてさえいれば、決して的をはずすことはない…」と先生。でもボッカはあくび。自分がこの台詞を聞いた時、実際弓道がうまくないひとなら受け入れやすいなと思った。そこで先生はボッカがやれと言う。ボッカは見事に的の真ん中を射抜く。逆上した先生は的の壁の背景を破壊しろと言う。ボッカはとりあえず壁を打つが、少し壁に穴を開けただけで、弓は折れてしまった。先生のごとく「弓矢は魂」だそうだ。ようするに、戦うものではないと言う。
ところかわって、学校の屋上でがねっことのラブラブなシーン。だががねっことの話はかみ合わない、というかずれてるというか、ちがうというか。ボッカは急にフェンスの上に飛び乗り、モンスターの話をはじめる…今の学校の授業に意味があるか、弓はモンスターを倒すためのものじゃないか、昔二十世紀戦争があった、そして、5年前にいなくなったケイはモンスターの犠牲になったと。
★(←星マークはいわゆる特異な演出が行われるときに付ける)
市長の部屋。いそいそとしている市長と秘書かなんかのもとにきたのはおもちゃのようなバス。そして、その後にホルがくる。赤い服の女性がお茶を出すがホルがその服いいねといったら女性がなんかのぼせてしまった。(なんというか、昔にドラマで見た、宝塚の人と目が合っただけでくずれてしまった人みたい。)ホルは市長に「どこにある?」と聞き、市長がしどろもどろに答え、囚われたケイがでてくる。
(白:黒)忘却の旋律(赤:黒)
〜前半終了と後半開始のアイキャッチの「忘却の旋律」の文字色と背景色。
ボッカの両親が学校に来るのをボッカとがねっこが見る。追跡したところ、両親は先生と密談。どうやら賄賂の様だ。ボッカとかねっこはその場を後にする。よかったじゃないとがねっこ。その言葉にボッカはむっとした表情をして、がねっこを置いて駆けていってしまう。その先に見えたのはまぶしく光る夕日と、そのまわりの赤すぎる背景(赤はモンスターの兆候)。その中心にある夕日は小さく見えた。その背にがねっこは言う。「子供ね、世の中はそういう風に回ってるの。これで問題なしなの」。
★バスが走っているのかと思ったら、ホルが踏み潰す。ここは市長室。
囚われたケイは「バスはどこ?」と言う。それに対し「バスはもうない」とホル。そしてケイに(ケイのものらしき)時計を取り付け、私が迎えに来たと言う。そして、ホルが手を鳴らすとケイの服がすべて脱げる。
★その光景を見ていた市長の部下らしき男が、なんと写真の顔つきの骨組み人形?になってしまう。さっき倒れた女を外に連れ出していた市長は、人形と化した部下を見て「モンスター…」と半場絶句する…と、自分の手元を見てみると…なんと倒れていた女も人形と化していた。それをみて、市長の部屋にいつからいたのかインコが飛び立つ。
ボッカが街を歩いている。とそこに占い文句を言ってくる女の子が現れ、終いにはおごれと言ってくる。おごったボッカ。その後、小夜子はこの人を知っているかと写真を出してくる。朝見た顔にボッカが反応を見せると、知っているのか!と小夜子。流れ者だろと言うボッカに戦士だと言う。そして小夜子にとって大切な人だそうだ。戦士ってモンスターと戦う人のことだよね、モンスターって本当にいるのと聞くと、これだからと小夜子。と、そこに警官二名。それを見た小夜子は逃走。ボッカの元に警官が寄ってきた。警官によると、小夜子はスリで、ボッカは財布をすられてしまった。
その後、ボッカはツナギじいさんの倉庫に来る。そこにいたのはツナギじいさんと先ほどの流れ者。ツナギじいさんによると、彼は黒船というメロスの戦士で、アイバーマシンと呼ばれるメロスの戦士専用のバイクを修理しに来たのだと言う。ボッカが倉庫を見渡すと、黒船のものらしきアイバーマシンがあったが、奥にもう一台のアイバーマシンを目にした。黒船がアイバーマシンに使える物を探しに瓦礫の山へと行く。それに近づくボッカ。先々の不満からボッカは黒船に聞きたいことがあると唱える。「どうしてメロスの戦士になったのですか?」それに対して彼は詩うように言う・・・
「やる気のある顔だな、荒野を突き抜ける目だ。」
・・・えっ、と顔をするボッカ。気にせず黒船は瓦礫の山の上へと立つ。
「どうして君たちは忘れることができたのか。」
「どうして忘れたまま、そうして日々を過ごす事ができたのか。」
「メロディーだよ、メロディー。」
・・・メロディー? っとボッカ
「彼女が、そう言っているのさ。」
・・・ボッカが彼女とは何かを聞く。彼は、名前を知らないが、仲間は『忘却の旋律』と呼んでいるのだと言う。そして、自分には忘却の旋律が今も見えると言う。
と、急に星空が消える。どうして消えたのとボッカ。嫌いなやつが隠したからだと黒船。そこにバスの上にのったホルが向かってくる。黒船はホルに、お前は迷宮の中に閉じ込められていたのじゃないか、と言うとホルは、ここはすべて迷宮だと言う。歯ぎしりしているホルを見た黒船は、また子供を食ったなと激怒する。どうやらケイを食べてしまったようだ。…と、バスが変化し、急に角が生え、車輪が牛の足に変化する。すると黒船は言う…。
「鳴り響け、俺のメロス!」
…どこからか矢を召還した黒船は、自分の腕の紋章に矢をかざし、さらに弓を輝かせ、ホルに向かって放つ。外れる。黒船は「ジャガーの太陽号!」とアイバーマシンを呼ぶ。「アイバーマシン、直ったのか」、ホルは逃げようとし黒船はそれを追う。その後、その場に残されたツナギじいさんは、ボッカを見失っていた。
ひとりボッカが歩いている。腕を手で抱えている。ボッカが唱えるように言う…。
「メロディーだよ、メロディー。ほら、このメロディー。こうして、鳴り響いているじゃないか。もしや君が、忘却の旋律…。」
…そういいつつ、手で抱えてたボッカの腕の部分が光りだす。
そして、ボッカは長い赤色の髪の女の子、『忘却の旋律』を見る。
オーディオコメンタリーより
(DVD収録のおもに脚本家の榎戸さんと声優さんらによるコメンタリー、その中から特異な演出の解説を抜粋)
・絵画のような(実写チックではない)空〜「主人公が感じている学園生活の味気なさ、薄っぺらさ、作り物のような現実感のなさの象徴」(オーディオコメンタリーからではなくウィキペディアより引用)
・矢を放たない授業〜精神的な刀狩りであり実戦などを考えられない人を意図的に作る目的で、モンスターにより行われている。深い意味では物と関わり学んでいくことは大事であり、それによってしか学べないことがある。それは悪意ある第3者が意図に沿わないものであり、介入もできない。それをよしとしないモンスターはこのような矢を放たない授業をしているらしい。一方で技とは逆の記号化された社会のほうが付け込みやすく、そちら好む。…技能を持った人が強いのは納得。
・屋上でのボッカとがねっこ〜互いの立ち居地が違うということを絵に表した。フェンスの上に立ったボッカは、制作者の言葉をそのまま引用さしてもらうと、「ボッカは金網を通さずに直接外を見ているけど、がなっこの位置からだと金網越しにしか外が見えない…」。…なるほどすぎる。
・ホルにのぼせる女性〜ホルは牛のモンスターであり、女の赤い服を見ていいと良いと言って…、で、なんかのぼせちゃったらしい。牛は赤い色に興奮する関連のよう。
・バス〜演出的に日常で目にする大きなもので、迫ってきたら怖いだろうということでバスとなった。…でもホルとどんな関係が?
・5年前の制服のままのケイ〜5年経っているのに当時の制服のまま成長していない=生きていないを表している。そんなこと全く気づかなかった。
・服が脱げるケイ〜なぜ服が脱げるのか、食べるには服はいらないから?と意見があったが、榎戸さん(製作スタッフ)はそのことは特に考えていなかった。
・モンスター〜モンスターの実体を見ると石や人形になってしまうらしい。(普段の姿ではそうはならない)
・人形になってしまった部下〜人形になりたかったり、偉大みたいなすごい人に会うと固まってしまう、そんな人がなる。…そういえば市長は人形にはならなかった。人間がモンスターを見た場合、人形か石になる。モンスターを見てどうにもならないのはメロスの戦士か、モンスターの仲間か、例外のヒューマノイドであるアイバーマシンである。まあ市長の場合は仲間といえそうだ。
・舞台設定〜日本のようだが日本ではない架空の国らしい。
考察や感想
・電車をボーっとみるボッカ〜少しは社会のことを感じている意味だと思う。
・矢を放たない授業〜実際弓道がうまくないひとなら受け入れやすいなと思った。
・黒船とボッカのシーン〜象徴しているものが多く考えられる。まず黒船がアイバーマシンの部品を探していると言うことは、世界で使える、戦える人を探しているのか。そして、上の台詞中にその小高い瓦礫の山の上に立つ。カメラアングルは下方からその光景と、両端に陸橋道路。それはその両端に阻まれ狭い範囲で見える星空。陸橋は今の社会、そして黒船は、世界の捨てられた、もしかしたらまだ使えるかもしれないような意味を持つ瓦礫の上から、希望の星をながめる。こういえるのではないか。
第1話まとめ
●ボッカは優秀とはいえない高校生。幼馴染のがねっこと過ごしているが、高校に不満を抱いていた。そしてボッカは小夜子、黒船、モンスターそして忘却の旋律に出会うのであった。
●学生がボッカのように学校に不満を持つことは普通のことだと思う。いや、自分もそういう感情を少しは持っている。そんな人が外部の人と出会ったときはあこがれる。そしてそこに現れた忘却の旋律とは何なのか。
(次回予告の台詞)
『僕は、忘却の旋律を見た。目的があって家を出るのは家出じゃない、それは、旅立ちなんだ。次回、「長い放課後の始まり」。鳴り響け、僕のメロス!』
(アバンあらすじ)
格子から光が差し込む。牢獄の中で、その光が照らす場所にに、ボッカが弓を引く真似をしている。「出ろ」。ボッカとその両親、そして刑事。解放してくれると言う。そこに両親がまた賄賂。両親の目はよくみれない。ボッカは聞く、「僕のアイバーマシンは?」。刑事は押収だと言う。警察署のシーンの終わりは小夜子の手配ポスターが張られていた。
←前話
第1部(黒・白) 第2話 『長い放課後のはじまり』 (白・黒)
→次話
(前話のあらすじ)
〜誰もが経験するような高校生活を送っていたボッカ。しかしそれにボッカは不満を抱いていた。そこに現れたのはモンスターとモンスターと戦う黒船であった。そしてボッカは忘却の旋律を見る。
第2話あらすじ
学校。ひとり窓から外を見るボッカ。がねっこがつかまったことを問いただしてくる。ボッカは言う「メロディーだよ、メロディー。ほらこのメロディー。こうして今も、鳴り響いてるじゃないか。」この言葉とリンクして、第一話直後、ツナギじいさんとの会話中。「おまえが、そうか。興味を持つことは才能だからな」。ツナギじいさんはボッカの腕の刺青のようなものを見てメロスの戦士だと確信する。そして、ボッカにアイバーマシンを見せる。そしてハンドルを握れと言う。従うボッカ、そしてアイバーマシンが起動する。アイバーマシンが名前を入力してくださいと言う。ボッカは、ツナギじいさんがエランヴィタールと呼んでいたことからその名前を名付けることにする。と、倉庫の真っ赤な戸を叩く音と、ここをあけろとの声。倉庫の周りは警察に囲まれていた。ツナギじいさんは一人逃げる準備をする、ボッカは呼び止めるが、彼は「大切にしろよ、お前の相棒だ。」という。そして、完全じゃなくまだ飛べないと言う。そしてさらに続けて言う・・・
「お前にも、忘却の旋律が見えたんのだろ。」
「いいか、見えているんなら、その幻の少女が本当にいる場所を探せ。」
「そうすれば、人間はまだ負けない。」
・・・(ボッカが見えているであろう忘却の旋律が映し出される。)・・・
「まもなくおまえは旅立つことになる。ずっと、ずーっと遠くまでな。」
・・・そういうと、ツナギじいさんは軽トラックで逃げてしまった。刑事が突入してきて、ボッカに所まで来てもらうと言う。ここで回想終了。でもそのことはがねっこには言わない。この前の弓の先生が来る。クラスの担任の先生だったもよう。クラスメイトが「知っているか、昨夜っから町のあちこちで、変な爆発が起こっているらしいぞ」という。シーンは黒船とホルのカーチェイスみたいな。陸橋の道の裏をはしったバスへ黒船は弓を放つ。外れる。だが、その弓の衝撃により、バスを地面へ叩きつけることができた。バスの破片?が飛ぶ。だがホルの不規則に逃げる影が映る。
★再び市長室。市長が神妙そうな顔をし、いままで部下であった人形に手を触れる。「人形…」するといつの間にいたのかホルがいた。黒船との戦いで疲れていた。「腹が減った。すぐ用意しろ。」市長は拒もうとするが、そのとき、先ほどの人形が手足を動かし始めた。驚愕する市長。そして、ホルは市長の机に合った写真を手に取り、こいつでいいと言う。そこに写っていたはがねっこであった。市長は自分の娘だと必死に拒むが、無駄だと悟る。その市長の肩に手を添える男の部下の人形。さらに電話機を差し出す女性だった人形。
夕日によってか赤に染まろうとしている放課後の学校。がねっこが放送で呼び出され、ボッカは一人帰ろうとする。途中、クラスメイトから茶化されるが相手にしない。なおも赤い夕暮れの中を家へと帰るボッカ。「すっきりしない顔。」現れたのは小夜子。落し物だと言って財布を見せる小夜子。ボッカが手を伸ばすが、返してくれない。「また、お腹すいたんだけどな、ボッカ君」。教務室と書かれた教室。がねっこはその教室に入る。中は暗く、光源はもはや赤しかない。「先生?」がねっこは言う。とそこには担任の先生が黒いシルエットの形でいた。「さあ、課外授業の始まりだ。」
(赤:黒)忘却の旋律(黒:白)
がねっこが手首を縛られて眠っている。担任は言う。「お前の父親は、お前をすぐに逃がせといった・・・彼らに逆らうことなど、絶対に許されないのに」。ホルが歩いてくる。「来た、俺の出世の道が」。ホルが体育館のステージにいる。
★バスケのゴールが決まるカット。そして、なぜか、室内バスケットボールをしている時に床と靴がこすれる「キュキュッ、キュキュッ」という音と、バスケットボールをバウンドさせる時の音が体育館にこだます。(無論、その場に生徒なぞいない。)
担任ががねっこをお嬢様抱っこして運んでくる。再びバスケのゴールが決まるカット。ホルは「ナイスシュート」と言う。そして、担任が抱えてたがなっこを浮かせて、自分の元に引き寄せる。担任は言う。裏切り者の市長は娘を逃がせと言ったが、自分はしなかったと。ホルは2人きりにしてくれというが、担任は、モンスターのおかげでこの世界が良くなった、うわさのモンスターユニオンに入りたいと言う。すると、角突きバスやってきて、担任をふっ飛ばしてしまう。ホルはケイの時と同じように、がねっこにメガネをかけ、指をならせばすべての服が脱げる。閉じる暗幕。
ボッカと小夜子がレストランにいる。相変わらずよく食べる小夜子。ボッカは小夜子をスリだと問い詰め、黒船のことを知りたくて会いに来たんだろ、「占い師なら、その(小夜子の手首にしている腕輪についている)インチキな鎖で居場所を占えば」というが、小夜子は「いつもわかるわけじゃないし」と答える。シーン変わって市長が黒船に助けを求める。黒船「いいから、場所を教えろ」。そしてそれに反応したのは小夜子の腕輪の鎖。「あの人だ」と小夜子は反応すると、席を立ち走り出す。
倒れている担任の横目に、小型化したバスががねっこの服を引きずっているというなんともシュールなシーン。そして、がねっこの写らないカットと小型バスが走るカットがひとつの画面を共有している。がねっこに近づくホルは、顔をニヤリとする。そこに矢が飛んでくる。矢をつかみ、砕くホル。ステージスクリーンが上がると、黒船。「いたな、牛野郎」。「メロスの戦士か」。
★体育館に角が生えている。この光景はボッカでも見えてるらしい。
野獣の雄たけびが聞こえる。「何、今の声?」と小夜子。「あれ、昨日と同じ…」とボッカ。それは角が生えていることを言っていると思う。体育館で対峙する黒船とホル。その場に来た二人。「がねっこ!」ホルにつかまったがねっこを見てボッカは驚く。ホルは笛を吹く。何度か吹く。そのたびに大きくなるするバス。ホルはそのバスに乗り移る。黒船はホルに狙いを定めるが、がねっこがいて撃てない。「来い、ジャガーの太陽号!」。現れたアイバーマシーンに飛び移る黒船。そして、ホルのバスとそれは激しく激突する。激しい光が起こる。叫ぶがねっこ。「がねっこ!」。ボッカは近寄よろうとするができない。その時ボッカは思い出した。「大切にしろよ、お前の相棒だ。」とツナギじいさんが言ったのを。「来い、エランヴィタール!」。警察署にあるエランヴィタールのライトに明かりが灯り、体育館の壁を破壊してエランヴィタールがやってくる。驚くボッカ。そして乗り込み、「いけ、エランヴィタール」というと、ホルのバスに横から激突する。吹き飛ばれるバス。「あいつ…」驚く小夜子。転倒し小さくなったバスを踏みつぶし、退避するホル。「待て!」と黒船。ホルはがねっこを床に置き「またニューフェイスの登場か。全くやりきれないね」と言うと、床から現れた黒い穴の中に引き込まれていく。自分が何をしたかわからなそうなボッカ。「終わりましたか?」と小夜子。
「なぜ来た。月ノ森さんのところにいる約束じゃなかったのか」「ごめんなさい…でも」「いいな、もう俺のことは追うな。俺の行くところ、モンスターとの戦いがある。」と黒船がそう言うと、彼の乗ったアイバーマシンは、浮遊し始める。「本当に飛ぶんだ、いいなぁ。」とボッカ。浮遊しつつ黒船は言う・・・
「確かボッカって言ったな。」
「いいか、君は選ばれたわけじゃない。これから君が選ばなきゃいけない。」
「そして、選ぶなら覚悟がいる。」
「生きていたら、また合おう。」
・・・「あ、待って、まだ聞きたいことが。」それは聞き届けられはせず、黒船は流れ星のごとく夜の空へと消えた。
「いやぁああ」がねっこが再び担任に捕まっている。「がねっこ!」ボッカは弓を取り出すと、矢を引く。険しい表情のボッカ。「何の真似だ!」と担任。「がねっこを離せ。お前は子供がモンスターの生贄にされることを、知ってたんだな」。「当たり前だろう。こんな時代じゃ、モンスターのいうこと聞くしかしょうがないだろう。」「モンスターに取り入っていくしか、俺たち人間が生きていく方法はない。それはメロスの戦士だって同じだ。」
「鳴り響け! 僕のメロス!」
・・・
そう言うと、肩から外側の服が散るのとともにボッカの腕の刺青のようなものが光る。ボッカはそれに矢をかざすと、弓にセット。狙いを定め引く。放たれる矢。その向かう方向には、担任の授業にあった的の壁。その壁に矢が当たると、壁は爆発する。そこには大きな穴が開いていた。それを見てへなへなと崩れる担任。それを見たボッカはアイバーマシンに乗り込む。「あんたもメロスの戦士なんだ!」小夜子が言う。がねっこが近寄る。「どこ行くのボッカ?」「どこ行くのボッカ?」小夜子が馬鹿にしたように復唱する。「乗れよ、どうせあの人を追いかけるんだろ。僕の目的地も、多分同じだから。それに、あの人にはまだ聞きたいことがある。」「そういうことなら」と左側の座席に乗り込む小夜子。「ボッカ!」とがねっこ。「さようなら」ボッカはがねっこに言う。「さようならって、その子だれ?」とがねっこ。「いいのか」と小夜子。「いい」。ボッカはがねっこをおいて、アイバーマシンを走らせる。呆然とそれを見つめるがねっこ。
夜の道路を走るアイバーマシン。操縦しているボッカ。その横で、ボッカをすこし見つめ、顔を前に戻す小夜子。彼らの道の先には、赤みがかった街が見えていた。
オーディオコメンタリーより
・体育館でのバスケの演出〜監督のが入れた演出である。・・・でもなぜバスケなのか分からない。ホルの「ナイスシュート」と言うセリフはよくやった、思い通りに行ったという意味であろう。
・旅立ち〜「忘却の旋律」の物語は、学校を出て冒険に出るという物語を作りたかったそうだ。現代は学校を辞める人が多いそうなので、それを作ったら面白そうだ、ということで始まったらしい。
考察や感想
・アバンの弓を引く真似〜光に向かって自分の意思を貫けるか考えているということか。担任は矢のない授業をしていたが、これとはあきらかに違うであろう。
・ノックされている赤い扉〜モンスターに類するものが迫っている。
・『送水口』と書かれたプレートにの下に、縦2つ、横6つの送水口〜一瞬のカット。普段なので蓋を閉められた状態。緊急時であることにかかわらず、秩序に機能することなく、比喩的な意味でも蓋がなされているということか。
・「長い放課後のはじまり」〜この題名の意味は、学校から離れた学生が長い間過ごす時間という意味であろう。
・がねっこにメガネをかけるホル〜ケイの時にもあったこの行為はどんな意味だろうか? 相手の大切なものを奪い、食べる時になったらそれを相手に返して、それと一緒に食う、という構図になる。
・行く先の赤みがかった街〜その赤の意味は朝日という希望の赤か。それともやはりモンスターの意味か。両方なのかもしれない。
第2話まとめ
●ボッカは忘却の旋律を見た。ツナギじいさんにそのことを言うと+、アイバーマシンに乗れ、そして、幻の少女が本当にいる場所を探せ、お前は遠くまで旅をすると言われる。そしてモンスターにつかまるがねっこ。モンスターのホルと戦う黒船とその場に居合わせるボッカと小夜子。そして、黒船の苦戦にボッカはエランヴィタールを呼び、黒船に加勢するのであった。黒船はボッカに、選ばれたのではない、選ばなきゃならないんだ、生きていたらまた会おう言い、行ってしまう。まだ居た担任ががねっこを捕まえているが、ボッカは矢の壁を破壊し救出する。そしてボッカはがねっこをおき、黒船、そして忘却の旋律を追い、目的が同じ小夜子と旅立つのであった。
●ボッカはがねっこを助けたが、学校や家族を捨て小夜子とともに旅をすることを決断するのであった。学校や家族を捨てどこかへ行ってしまうのある意味学生のときにしか出来ないことかもしれない。大人だったらただの失踪になるし、大人になると事の解決が旅立ちにあるとは思えなくなってしまうと思う。
『さびしい時も、つらい時もあるさ。でも、朝の来ない夜はないんだ。えっ、ここって永遠に夜明け前なの? 次回、「白夜岬」。鳴り響け、僕のメロス!』
→次話